よくあるご質問
商業(会社・法人)登記

会社法が施行されたと聞いたのですが、ポイントを教えて下さい。

主なポイントは以下のとおりです。
1.株式会社と有限会社を1つの会社類型(株式会社)として統合
2.会社設立手続きの簡素化(最低資本金制度の撤廃、類似商号規制の撤廃、発起設立における払込金保管証明書制度の撤廃など)
3.会社の機関設計(取締役の員数や監査役の設置など)の自由化
4.役員の任期が最長10年まで伸張できる。
5.新たな役員類型(会計参与)の創設
6.新たな会社類型(合同会社)の創設

会社法が施行されて有限会社でしなければならないことはありますか?

会社法が施行されたことにより「有限会社法」は廃止され、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。ただし、既存の有限会社は、すべて会社法上の株式会社の一種として存続することが認められました。このようにして存続することになった有限会社を、法律上「特例有限会社」といいます。特例有限会社として存続するのに登記や届出等をする必要はありません。
また、いつまでに株式会社にしなければならないといった期限も今のところ設けられておりませんので、特に不都合がなければ、そのまま有限会社でいても問題ありません。

会社法が施行されて株式会社でしなければならないことはありますか?

一定の場合をのぞき*、登記や届出等は必要ありません。しかし、株主や債権者などから請求があれば、定款に記載されているものとみなされている事項を示す必要がありますので、定款の整備をしておくことが望ましいと思われます。
(注)以下の事項に該当する場合には、会社法施行後6ヶ月以内に登記が必要になります。
1.株式の買受け又は消却に関する定款の定め等がある
2.「商法特例法上の大会社」(委員会等設置会社を除く)又は「みなし大会社」
3.委員会等設置会社である株式会社
4.消却事由の定めがある新株予約権であって整備法の施行の際、現に発行している
5.会社法施行時に資本金が1億円以下または負債の額が200億円以下の小会社で「株式の譲渡制限に関する規定」の登記がない会社

株式会社を設立したいのですが、必要書類等を教えて下さい。

発起人(出資者)及び取締役それぞれの印鑑証明書が1通必要になります。

会社の商号を決める際の注意点を教えて下さい。

株式会社であれば、必ず商号の一部として「株式会社」という文字を使用しなければなりません。これに代えて「K.K.」、「CompanyIncorporated」、「Co.,Inc.」、「Co,Ltd.」という文字を使用することはできません。
文字については、漢字、平仮名、片仮名、ローマ字、数字を使用することができますが、()や「」などの記号は原則として使用ができません。

事業目的の記載方法の注意点を教えて下さい。

会社の事業目的で、数や順番などの制限はありません。
また、建設業や飲食業などの許可が必要な業種であっても、将来事業としてする可能性があれば、とりあえず目的に入れておくことはできます。
新しい会社法では、目的の記載方法の規制が緩和され、従来では認められなかった「建設業」や「運輸業」などの概括的な事業目的も認められると考えられます。
ただし、許認可等が必要な業種については、ある程度具体的な目的の記載を求められることがありますので注意が必要です。

有限会社から株式会社に変更をしたいのですが、どのような手続きが必要ですか?

まず、株主総会で株式会社に商号変更をする決議をした後、法務局に「有限会社解散登記」および「株式会社設立登記」の申請をします。この2つの登記申請は同時にしなければなりません。また、株式会社設立登記にあわせて目的や役員を変えることも可能です。

取締役と監査役の任期を10年にしたいのですが、登記は必要ですか?

原則として取締役の任期は2年、監査役の任期は4年ですが、「株式の譲渡制限に関する規定」のある会社については、最長で10年まで任期を伸張することができます。
役員の任期を伸張するためには、定款にその任期を定めなければなりませんので、株主総会において定款を変更する決議が必要になります。
ただし、役員の任期は登記事項ではありませんので、登記は必要ありません。

役員を取締役1名にする手続きを教えて下さい。

従来の株式会社は最低でも取締役が3名、監査役が1名必要でしたが、会社法では、「株式の譲渡制限に関する規定」のある株式会社について、役員を取締役1のみすることができます。
この場合には、株主総会において「取締役会」及び「監査役」を廃止する決議をした後、「取締役会設置会社」及び「監査役設置会社」の廃止の登記及び取締役と監査役の変更の登記申請をしなければなりません。
また、これらの登記にあわせて「株式の譲渡制限に関する規定」についても、承認機関を取締役会から株主総会や代表取締役などに変更する必要があります。

会社を設立するときや増資をするときに、払込金保管証明書にかえて残高証明書でもよくなったと聞いたのですが?

従来、会社を設立するときや増資をするときには、金融機関等に払込金を預けて、払込金保管証明書を発行してもらう必要がありました。
会社法では、これにかえて通帳のコピーや取引明細書などでも構わないということになりました。ただし、いわゆる残高証明書だけでは、金銭が払い込まれた記録が出てきませんので、これをもって払込金保管証明書にかえることはできません。

取締役会を設置するのとしないのとでどのような違いがあるのですか?

原則として株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決定をする権限を有しています。ただし、取締役会を設置した会社については、株主総会の決定権限を定款変更や合併、解散など会社法及び定款に定める一定の重要な事項についてのみに限定することができます。これにより、経営に関する事項については取締役会において決定をすることができるようになりますので、役員や身内以外の株主がいるような場合には、取締役会を設置した方が、より機動的に会社を経営することができます。

設立や増資の際の現物出資に関する規制が緩和されたと聞いたのですが?

会社設立や増資をする際に金銭の代わりに、動産や債権などの現物を出資することが可能です。この場合、原則として裁判所が選任する検査役の調査を受けなければなりません。
しかし、出資をする現物の価格が500万円以下の場合や、税理士や弁護士等による価格が相当であることの証明書を添付した場合などについては、検査役の調査を省略することが可能です。
さらに、会社に対する貸付金で弁済期が到来しているものについては、その貸付金があることが確認できる会計帳簿(総勘定元帳など)を添付することにより検査役の調査を省略することができます。

会計参与って何ですか?

会社法で創設された新しい制度で、取締役と共同して計算書類を作成する役員の一類型になります。会計参与は、税理士や公認会計士等でなければなりません。会社は会計参与を選任することにより、計算書類の信頼性をあげることができ、これにより金融機関や取引先などからの信頼が高まると考えられます。
また、株式の譲渡制限に関する規定がある会社で会計参与を設置した場合は、監査役が不要となります。

合同会社って何ですか?

新しい会社類型で、出資者全員が出資した額の範囲でしか責任を負わない(有限責任)という組織形態の会社です。
特徴としては、出資した額の割合にかかわらず利益を配分できる、出資者全員が業務を執行する役員となる、役員の任期がない、決算公告義務がないなどがあげられます。
合同会社のことを「日本版LLC」又は単に「LLC」と呼ぶこともあります。