よくあるご質問
遺言・相続・成年後見

遺言にはどんな種類があるの?

遺言には(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言の3種類があります。

(1)自筆証書遺言
遺言の全文、日付及び氏名をすべて自分で記載し、名前の下に押印して作成します。
・メリット
 費用がかからない。
 自分だけで作れる。
 遺言を作ったことを秘密にしておける。
・デメリット
 形式不備により法律上無効になる可能性が公正証書遺言より高い。
 遺言の存在を秘密にしていた場合、発見されない可能性がある。
 家庭裁判所の検認が必要。

(2)公正証書遺言
公証役場の公証人の作成する公正証書によってなされます。
・メリット
 遺言が形式不備により無効になる確率が格段に低い。
 原本が公証役場に確実に保管されている。
 家庭裁判所の検認が不要。
・デメリット
 作成のための費用がかかる。
 遺言書作成に証人が必要となる。

(3)秘密証書遺言
遺言書は自分で作成し、公正証書手続きで遺言書の存在を公証しておくものです。
・メリット
 内容の機密性が確保される。(公正証書遺言との比較)
 公正証書遺言を作成するよりは費用がかからない。
 遺言の本文は自書でなくても署名ができれば作成可能。
 (自筆証書遺言との比較)
・デメリット
 遺言を公証役場に提出する際に証人が必要
 家庭裁判所の検認が必要
 遺言の中身は形式不備により無効になる恐れがある。

遺言にはどんな効力があるの?

相続分の指定・・・誰にどの割合で相続させるかを指定できます。
認知・・・婚姻届を出していない男女間に生まれた子を、親が戸籍上の手続きによって自分の子だと認めることです。遺言によって認知されてもその子は相続人になれます。
遺贈や寄付による財産処分・・・遺産を第三者に贈ったり寄付できます。

相続人って誰のこと?

相続人とは正式は「法定相続人」と言い、法律で定められた相続の権利を有する人で、配偶者と血縁の人たち(被相続人の子・直系尊属・兄弟姉妹)に大きく分けられます。
配偶者・・・婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫をさします。
子・・・実子は、籍が別になっていても男女に関わりなく相続権があります。父母が離婚した場合は、子は離婚した両親の双方の相続人になります。また、養子も実子と同様に相続人になります。
直系尊属・・・父母、祖父母、曽祖父母などをさします。直系尊属が相続人になれるのは亡くなった人に子も孫もいないケースのみです。
兄弟姉妹・・・亡くなった人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。

相続財産とはどんな財産?

相続の対象となる遺産は、土地・建物、現金、預貯金、株式、家財道具、自動車、貸付金の債権、損害賠償請求権などがあります。また、故人の借金などのマイナスの遺産もその対象となります。マイナスの遺産としては借金、債務、損害賠償金などがあります。

相続分はどれくらいあるの?

相続分とは、法律で決められた相続人に対する相続分の割合です。民法では相続人の相続順位を次のように定めています。
相続人が配偶者と子の場合
配偶者が全遺産の1/2を、子が1/2を相続します。子が複数いるときは1/2を均等に分けます。
被相続人に子がいない場合
配偶者が全遺産の2/3を、直系尊属が1/3を相続します。
被相続人に子も直系尊属もいない場合
配偶者が全遺産の3/4を、兄弟姉妹が1/4を相続します。
相続人全員で相続財産をどのように分けるかを決めることもできます。これを遺産分割協議といいます。

夫が亡くなりました。相続人は誰ですか?

相続人は、子供がいる場合には、妻と子供(養子を含む)です。もし、子供がいない場合には、妻とご主人の両親。両親もすでに亡くなっている場合には、妻とご主人の兄弟姉妹が相続人になります。子供、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子供に相続権があります。

相続人が未成年者の場合には?

相続人が未成年の場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申立て、選任された特別代理人(伯父、伯母など身内の人になってもらう例が多い)との間で遺産分割を行うことになります。
相続人の一人が他の相続人を代理することや、同一人物が複数の相続人を代理することは禁じられているため、妻と子が相続人の場合、母親は子どもの代理人になることはできません。
特別代理人を選任しないで―人で遺産分割を行った場合は無効になります。

相続登記をするには?

土地や建物の登記名義人が死亡した場合には、実際に相続した人に所有権移転登記をする必要があります。

遺留分ってなに?

遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定の割合のことです。遺留分を有する相続人は、兄弟姉妹以外の相続人、つまり、配偶者、子、直系尊属です。

成年後見制度とはなんですか?

認知症・知的障害・精神障害など判断能力がないか若しくは不十分のため、不動産の売買や遺産分割協議、銀行預貯金の管理、または身の周りの世話のために介護サービスや施設への入所に関する契約を結ぶ必要があっても、自分でこれらの事をするのが難しい場合があります。また、自分に不利な内容であっても、十分に判断できないまま契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあう恐れもあります。
そこで、家庭裁判所もしくはあらかじめ自分が選任しておいた成年後見人が、本人の代わりに契約などの法律行為をする、反対に本人が同意を得ないでした法律行為を取り消したりすることによって、本人を保護・支援する制度です。

法定後見制度とはなんですか?

認知症・知的障害・精神障害などで、現に判断能力がないか若しくは不十分な状態にある人に対して、申立により家庭裁判所が後見人・保佐人・補助人などを選任して、本人を援助する制度です。
法定後見制度は、本人の判断能力の程度によって次のように区分されます。
1.本人の判断能力が全くない場合→後見
2.本人の判断能力が著しく不十分→補佐
3.本人の判断能力が不十分→補助

任意後見制度とはなんですか?

本人自身が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が衰えた場合にそなえて、あらかじめ自らが選任した任意後見人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)結んでおくものです。
これにより、本人の判断能力が衰えた後に、任意後見人は任意後見契約で定められた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」のもと、本人を代理して法律行為を行うことができ、本人の意思に沿った適切な保護・支援をすることが可能になるのです。
なお、任意後見契約は公証人の作成する公正証書で締結しておく必要があります。

後見手続きの申立人は誰ですか?

申立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人、任意後見人、保佐人、補助人、成年後見監督人等、市区町村長、検察官です。
身寄りがないなどの理由で申立てをする親族がいない場合は、市区町村長にも法定後見の申立て権が与えられています。

後見人にはどんな人が選ばれますか?

後見開始の審判の申立て書には成年後見人等候補者を記載する欄がありますが、必ずしもその候補者がそのまま選任されるとは限りません。また成年後見人等として選任されるのは親族に限定されているわけでもありません。
家庭裁判所は成年後見人等の選任にあたり、
1.本人の心身の状態並びに生活及び財産状況、
2.成年後見人等候補者の職業・経歴
3.成年後見人等候補者と本人の利害関係
4.本人の意見
などをふまえて総合的に判断します。
そのため、弁護士や司法書士、社会福祉士などの法律・福祉の専門家や、公益法人が選ばれる場合もあります。この場合、成年後見人等に対する報酬は、家庭裁判所が決定し、本人の財産の中から支払われます。

後見人の仕事は何ですか?

成年後見人は本人に代わって、その生活・医療・介護・福祉等の様々な契約を結んだり、財産全体をきちんと管理して、本人が日常生活に困らないように保護・支援します。通常、未成年後見人は本人が亡くなるまで、これら本人のために活動する義務を広く負うことになります。また、成年後見人は、その事務について家庭裁判所に報告するなどして、家庭裁判所の監督をうけることになります。
しかし、成年後見人の職務は本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており、食事の世話や実際の介護などは含まれていません。